専門学校中退者が、上手に就職活動をする方法
最終更新日:2018年10月26日
「専門学校を中退すると、就職するのは難しいのではないか」と感じている人は多いと思います。
実際に、就職活動を行った中退者を対象とした調査では、
- 専門学校中退者 43.3%
- 大学中退者 45.7%
- 短大・高専中退者 44.1%
と、半数近くの中退者が、「就職活動中に不利があった」と感じています。(※1)
しかし、専門学校を中退しても、就職活動を行い内定を得て、正社員として活躍している人はたくさんいます。
ここでは、当社の現役キャリアアドバイザーが、中退者の就職支援を15年以上行ってきた経験をもとに、「専門学校を中退した人が上手に就職活動をする方法」を解説していきます。
※1 出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「大学等中退者の就労と意識に関する研究」2015年5月
1. 専門学校中退者が就職活動で不利に感じたこと
専門学校中退者が上手に就職活動を行うためには、「学校中退者は、どんなことに就職活動での不利を感じたか」を知っておくと、就職活動に役立てることができます。
ここに、「中退後の就職活動で、どんなことに難しさや不利さを感じたか」についての調査結果があるので、見ていきましょう。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「大学等中退者の就労と意識に関する研究」2015年5月
この図からもわかるように、就職活動で応募(学歴条件、選択肢限定)に関して不利な経験をしたと、最も多くの中退者が感じています。
中退したことで応募できる企業や職種が限定されてしまい、就職活動が上手に行えない人が多いことがわかります。
専門学校中退者は、学歴が高卒扱いになります。
また、アルバイト経験があったとしても評価されないことが多いので、職歴なしと考えておいた方がよいでしょう。
そのため、専門学校中退者は、「高卒」「職歴なし」で応募できる求人情報を探していくと、応募に関して不利さを感じることが軽減されたり、内定を早く得られたりと、効率的に就職活動が行えるはずです。
そこで、次から、「高卒」「職歴なし」でも就職しやすい、専門学校中退者におすすめの職種を紹介していきます。
2. 専門学校中退者におすすめの職種
ここでは、専門学校中退者が就職しやすい、おすすめの職種を紹介していきます。
※平均年収は、厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」を元に算出、またはDODA「平均年収ランキング2017(職種別)」を参考にしています。
2-1. 営業職
営業職は、学歴や資格を問わない求人募集が多いので、専門学校中退者が採用されやすい職種の一つです。
自社製品やサービスをお客様にアピールしていく仕事なので、求人募集では人当たりの良さやコミュニケーション能力の高さを評価する場合が多く、「未経験」や「学校中退」を気にすることなく挑戦できるでしょう。
個人向け・法人向け・ルート営業など、営業方法が様々あり、どの業界にも求人募集が豊富にあるので、興味のある業界に就職できるチャンスがあります。
ノルマや飛び込み営業など、大変なイメージがありますが、
- 歩合制の企業が多く、営業成績次第で給料が増える
- コミュニケーション能力が高まる
- ノルマ達成でやりがいを感じる
といったように、自分にプラスになることも多く、努力すれば、しっかり評価してもらえる職種です。
- 営業職の平均年収
- 男性 約464万円 女性 約379万円
- 営業職に含まれる職種
- 保険外交員、不動産セールスなど
- たくさんの人と出会えたことで、いろいろな立場から物事を見ることができるようになりました。(流通・小売業3年)
- 自分で考えて行動するので、責任感が強くなり、仕事へのやる気も高まります。(メーカー勤務5年)
- 朝から夕方まで営業をしても契約が取れない日があるので、メンタルの強さが求められる。(建設関係勤務7年)
2-2. 販売職・サービス職
販売職やサービス職は、お客様にアピールして商品やサービスを販売する職種なので、学歴よりもコミュニケーション能力や人柄が重視されます。
そのため、専門学校中退が理由で、「求人に応募できない」「採用されない」ということはほとんどありません。
量販店や百貨店、アパレル、スーパー、飲食店、美容関連など、業界や取り扱う商品が多種多様なので、自分の興味がある分野で就職できるチャンスがあります。
- 販売職・サービス職の平均年収
- 男性 約350万円 女性 約295万円
- 販売職・サービス職に含まれる職種
- 量販店・スーパーの販売員、飲食店スタッフ、ホテルスタッフなど
- レイアウト方法やPOPの書き方など、お客様に興味を持ってもらえるように自分で方法を考えていくことにやりがいを感じました。(釣具店販売員4年)
- 自分の好きなものに囲まれて、毎日仕事ができるので楽しい。(アパレル販売職28歳女性)
- 大手チェーン店に勤務している場合、店舗の異動が多いです。私は1年半の間に2回の店舗異動があり、通勤時間が長くなったり、人間関係が築きにくいこともありました。(ドラッグストア勤務2年)
2-3. 事務職
事務職は、資格や経験が問われない求人募集が多く、どの企業にもある職種のため求人数も多いです。
また、募集条件に「パソコンの基本操作ができる」ことを必須としている企業が多いですが、高度なパソコンスキルを問われることはほとんどありません。
事務職は求人の応募条件が比較的低めなことと、定型仕事や雑務が多いことなどから女性に人気のある職種のため、女性の応募者が多く、競争倍率は高めになります。
- 事務職の平均年収
- 男性 約379万円 女性 約314万円
- 事務職に含まれる職種
- 一般事務、営業事務、経理など
- 残業はほとんどなく、カレンダー通りの休日なので、予定を立てやすい。(一般事務3年)
- 電話や来客応対の基本マナーが身につきます。(メーカー勤務26歳女性)
- キャリアアップや給料アップは望めない。(一般事務5年)
2-4. 介護職
介護職は、学歴・資格不問の求人が多く、未経験から挑戦することができる職種です。
高齢者の増加に伴い介護職の求人数も増えていて、老人ホームやデイサービスといった施設から個人宅まで、働く場所がたくさんあります。
無資格から働き始めても、知識や経験を積み重ねていくと、介護の基礎資格から国家資格まで様々な資格を取得していくことができるので、介護の仕事の幅が広がります。
- 介護職の平均年収 ※ホームヘルパーの場合
- 男性 約318万円 女性 約302万円
- 介護職に含まれる職種
- 介護職員初任者研修、実務者研修、ケアワーカーなど
- 利用者から直接「ありがとう」と声をかけられたり、笑顔が見られたりと、人の役に立っている実感がある。(デイサービス勤務2年)
- 自分の家族や親戚に介護が必要になった時に、介護の知識や経験が役に立ちます。(訪問介護3年)
- 介護職は4Kと言われる「きつい・汚い・危険・給料が安い」職種なので、利用者への温かい思いがないと長く続けられません。(介護職員初任者研修修了者7年)
2-5. 製造業
工場で組立や加工、検品、梱包などを行う製造業は、資格や経験、学歴を問わない求人募集がたくさんあります。
未経験者でもすぐにできる仕事が多く、最初はライン作業のような簡単な仕事を行いますが、業種によってはフォークリフトや生産管理、品質管理、危険物の取扱といった免許や資格を取得していくと、責任ある立場を任されるようになります。
大手企業は求人数が多いので、中退者であっても大手企業の正社員になれるチャンスがあります。
- 製造業の平均年収 ※機械・金属加工の場合
- 男性 約354万円 女性 約270万円
- 製造業に含まれる職種
- 機械組立工、製品検査工、製品製造・加工処理工など
- 生活に必要な物作りの現場で働ける。(製鉄業24歳女性)
- 日勤夜勤と勤務時間がきちんと決まっていて、残業が少ない。(部品工場勤務3年)
- 勤続年数によっては昇進があるものの、すぐに出世ができない。(自動車関係勤務28歳男性)
2-6. 運輸・配送・倉庫業
運輸・配送・倉庫といった物流業界は、ネットショッピングの流行とともに人手が不足している業界のため、常に求人募集があります。
学歴不問の求人が多く、運転免許を取っていれば採用されやすくなりますので、体力に自信がある人にはおすすめの職業です。
経験がない人でも安心して仕事ができるように、多くの企業が教育研修を行って人材育成に力を入れています。
- 営業用普通・小型貨物自動車運転者の平均年収
- 男性 約404万円 女性 約315万円
- 運輸・配送・倉庫業に含まれる職種
- 荷物配達員、倉庫作業員、引越作業員など
- 仕事に必要な資格の取得費用を、会社が負担してくれます。(配送ドライバー3年)
- 移動中は一人なので、気持ちが楽。(運輸業35歳男性)
- 荷物の積込みや長時間の運転で体が疲れやすい。(大手運送会社勤務34歳男性)
2-7. 建設業
建設業は、大工や土木、設備工(電気、水道、空調他)といった、様々な建設作業員の求人が常に募集されています。
肉体労働のため体力は必要ですが、学歴や資格を問わない求人が多いので、専門学校中退者のような未経験者でも就職しやすい職業です。
未経験者から始めても、経験を積んだり資格を取得したりと、職人や技術者、現場監督などにステップアップしていくことができます。
建設業界は、在職者の老齢化と、若手の入職者が減少していることから、若年層の建設作業員は貴重な存在となっています。
- 大工・とび・左官・設備などの平均年収
- 男性 約333万円 女性 約277万円
- 建築業に含まれる職種
- 大工、とび、左官など
- 時間をかけて自分が作り上げたものが形になることにやりがいを感じる。(大工6年)
- 手に職がつけられる。(設備工6年)
- 季節や天気に関係なく屋外での仕事なので、心身ともに過酷。(建設会社勤務25歳男性)
2-8. 公務員
公務員は、今も変わらず根強い人気の職業です。
公務員になるには、公務員試験に合格して採用される必要がありますが、学歴は問われないため中卒者や高卒者であっても受験することができます。
受験資格には年齢制限があり、年齢が若いほど、また高卒後の年数が経っていないほど、受験できる公務員の職種が増えます。
年齢制限内の専門学校中退者は、定年まで安定した雇用を得られるチャンスなので、公務員を目指してみるのもよいでしょう。
- 平均年収 ※地方自治体の場合
- 約590万円
- ☆公務員の種類
- 地方公務員、国家公務員
- 一般企業に比べて、給料もボーナスも安定している。(地方公務員27歳女性)
- 行政職は数年おきに配置転換があるので、いろいろな部署で経験を積むことができる。(行政職34歳男性)
- 資格取得やスキルアップは個人に任されていて、キャリアアップがしにくい。(市役所勤務30代男性)
3. 専門学校中退者の履歴書の書き方
専門学校中退者の中には、履歴書に「中途退学」と記入することに抵抗を感じる人は少なくありません。
中退していることが必ずマイナスイメージになるわけではなく、隠し通すのはなかなか難しいので、履歴書には「中途退学」であることを正直に記入しておきましょう。
では、専門学校中退者は履歴書の学歴欄をどのように書けばよいのか、注意すべきポイントについて見ていきましょう。
3-1. 「学歴」欄は、中学校卒業から専門学校中退までを書く
- ・中学校卒業の年月から書き始める
- ・高等学校は、入学と卒業の年月を記入する
- ・専門学校は、入学と中退の年月を記入する
3-2. 専門学校中退者の履歴書の書き方例
学歴
平成〇〇年3月 〇〇市立○○中学校 卒業
平成〇〇年4月 ○○県立○○高等学校 入学
平成〇〇年3月 ○○県立○○高等学校 卒業
平成〇〇年4月 ○○専門学校 入学
平成〇〇年9月 ○○専門学校 中途退学
3-3. 中退理由は学歴欄に書かない
履歴書では中退理由を書く必要はありませんが、面接では中退理由を必ず質問されます。
企業側の理解が得られやすいような、やむを得ない中退理由と現在の前向きな気持ちをアピールする答え方を準備しておくと、面接官に好印象を与えられるでしょう。
4. 専門学校中退者の面接の受け方
専門学校中退者の面接の受け方については、以下の記事を参考にしてみてください。
記事は、大学中退者向けですが、中退をしている人すべてに役立つ内容になっているので、ぜひチェックしてみてください。
就職面接での、大学中退理由と志望動機の伝え方と回答例文20選
5. 専門学校中退者が求人を探す方法
ここでは、専門学校中退者が上手に就職活動を行うために、求人を探す方法を紹介します。
5-1. 求人サイト
求人を探す方法として、まず思い浮かぶのは、インターネットの求人サイトです。
スマホを使用すればいつでもどこでも、気軽に求人を見つけることができます。
専門学校中退者が求人サイトを利用する時は、「職歴」や「就活経験がない」人が応募できる求人が豊富にそろう求人サイトを選ぶとよいでしょう。
☆専門学校中退者が求人サイトを選ぶポイント
- 職歴なしや未経験者向けの求人が多い
- 応募条件が「学歴不問」「高卒以上」など専門学校中退者が応募できる求人が多い
- 求人数が多いだけでなく、選べる職種や地域の種類も多い
当サイトで紹介している求人サイトは、たくさんの専門学校中退者が利用している人気の求人サイトです。
複数の求人サイトに登録しておけば、効率的に就職活動を行うことができるでしょう。
以下の記事では、「大学中退者におすすめの就職サイト9選」となっていますが、専門学校中退者の方も問題なく利用できるので、ぜひ利用してみて下さい。
5-2. 中退者向けの就職支援サイト
専門学校中退者が求人を探す方法で、適正に合った、よい企業の求人を簡単に見つけることができるのが、中退者向けの就職支援サイトを利用する方法です。
中退者向けの就職支援サイトを利用すれば、キャリアアドバイザーと相談したり、自己分析ツールを利用することで、適性のある企業の求人を紹介してくれます。
専門学校中退者が一人で就職活動を行った場合、応募できる求人が見つからなかったり、よい企業の見分けがつかないことが多いので、こういったサポートが役に立つはずです。
中退者向けの就職支援サイトでは、「模擬面接」や「専門学校中退者が面接で聞かれる質問への回答方法のアドバイス」「履歴書の添削」なども行っています。
こういった中退者向けの就職支援サイトは、最近になって増えてきているので利用してみるとよいでしょう。
求人サイトと同じく、以下の記事で、就職活動の支援や就職率に定評がある、中退者向けの就職支援サイトを紹介しています。
就職支援サイトの説明文では、「大学中退者」となっていますが、「専門学校中退者」も利用可能で、たくさんの方が活用しています。
5-3. ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークは、国が設置している機関なので全国に拠点があり、たくさんの求人を閲覧することができます。
パソコンを使って求人の検索や応募ができるだけではなく、転職活動に利用できる職業訓練の案内や、履歴書や面接についてのアドバイスなど、様々な就職活動の支援を行っています。
ハローワークの一番のメリットは、就職活動について相談員と直接話ができることです。
些細なことであっても、相談したいことや不安に思っていることがある人は、ハローワークを利用してみるのもよいでしょう。
ハローワークの利用方法については、以下の記事を参考にしてみてください。
6. まとめ
専門学校中退者が上手に就職活動を行うためには、一人で悩まず、求人サイトや就職支援サイトといった就職支援を活用して、情報収集や就活対策をしていくことです。
中退していても正社員になれるチャンスはたくさんありますので、専門学校中退者もぜひ正社員を目指して上手に就職活動を行いましょう。
大学中退者に
人気の就職サイトランキング
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※ランキング調査期間:2019年1月31日~2020年1月31日
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