大学中退後の、奨学金の手続き
最終更新日:2022年3月31日
奨学金を利用する大学生は、平成28年時点で2.6人に1人。
大学に通うために奨学金を借りていた場合は、大学中退をする際に、奨学金の振り込みを止める手続きを行う必要があります。
奨学金をストップすると、返済が7か月後からはじまります。
もし、返済が難しい場合は、奨学金の「減額返還制度」や「返還期限猶予制度」などが利用できるので、その手続きも必要になります。
そこで、ここでは、大学中退をする際に行う「奨学金の手続き」について、わかりやすく解説していくので参考にしてみてください。
1. 奨学金の振り込みを止める手続き
大学中退をした人は、奨学金の辞退をして、奨学金の振り込みを止める必要があります。
必要のない奨学金を借り続けてしまうと、奨学金の種類によっては利息を払わないといけないことがあるので、必ず奨学金辞退の手続きを行いましょう。
奨学金の辞退の手続きは、通っていた大学の事務所で行います。
多くの大学では、退学手続きを行うときに奨学金辞退の手続きについて説明してくれますが、説明されない場合は自分から奨学金を辞退したいと伝えましょう。
手続きは以下の手順で行います。
- 大学の事務所で奨学金を辞退したいと伝えて、「異動願(届)」を受け取る
- 異動願に、必要事項を記入して大学事務所に提出する
- 奨学金の辞退が完了したら、「貸与奨学金返還確認票」が学校から送られてくるので内容を確認する
- 金融機関の窓口で口座振替の加入手続きを行い、「預・貯金者控」のコピーを学校に提出する
手続きが完了すれば、7か月後の27日から返済がはじまります。
貸与奨学金返還確認票
奨学金の辞退完了後、平均1~2か月で「貸与奨学金返還確認票」が自宅に郵送されます。
ただし、奨学金を辞退した時期が年末など忙しい時期だった場合は、3か月ほどかかることもあります。
「貸与奨学金返還確認票」には、以下のような重要な情報が記載されています。
- 借用金額
- 貸与期間
- 返還回数
- 初回割賦金(※1)
- 割賦金
- 最終割賦金
- 総支払い額
- 連帯保証人
- 保証人
※1 割賦金(わっぷきん)とは、何回かに分割して支払うお金
記載されている内容に、間違いや変更がないかをよく確認します。
「借用金額」には、これまでに借りた奨学金の総額、「総支払額」には借用金額と支払いシミュレーションにより算出された利息を足した金額が書かれています。
つまり、予定通りの返済期間で返していくと、「総支払額」に書かれている金額を支払う必要があります。
貸与奨学金返還確認票が届く前に、月々支払う金額を知りたい場合などには、「奨学金貸与・返還シミュレーションサイト」を使って確認できます。
2. 奨学金返済の「減額」「返還期限猶予」「返還免除」の手続き
奨学金を止めると、返済が7か月後にはじまります。
しかし、大学中退後に就職しておらず収入が少ない人には、返済が難しい人もいます。
そのような場合は、奨学金返済の「減額」「返還期限猶予」「返還免除」ができる場合があります。
それらの手続き方法について紹介します。
2-1. 減額返還制度
「減額返還制度」は、大学中退後の収入が少ないなど、奨学金の返還金額を支払うのが難しい場合に、毎月の返還金額を減額して返済することができる制度です。
減額返還制度を利用すれば、奨学金をストップした際に決めた毎月の返還金額を、2分の1または、3分の1に減額することができます。
最長で15年間(180か月)減額できますが、1年ごとに「減額返還願」を提出する必要があります。
ただし、毎月の返済額が減額される代わりに、減額返還期間に応じた分の返還期間は延長されるので、返還予定総額が減額されるわけではありません。
返済期間は長くなりますが、利子を含めた総支払額は変わらずに毎月の返還金額が減額されるので、無理なく返還をつづけることができる制度です。
また、申請方法は必要書類を郵送するだけなので、手軽に申請することができます。
- 適用条件(経済的な理由で減額返還をする場合)
-
まずは下記の「経済困難」「新卒または中退者」「失業中」「傷病」「災害」のいずれかにあてはまるか確認してみましょう。
- 経済困難
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- 給与所得者 年間収入金額(税込み)325万円以下
- 給与所得以外の所得のある方 年間所得金額(必要経費など控除後)225万円以下
所得証明書には、各種税金が引かれる前の給与を指す「給与収入」と、税金を引いた後の手取りの給与を指す「給与所得」が記載されています。
(例)
給与収入金額 1,800,000円
減額返還の審査では、給与所得者は所得証明書の「給与収入金額」が325万円以下である必要があります。
給与所得 1,080,000円 - 新卒または中退
-
大学を卒業または中退してからしばらくの間は、収入が低かったり、新生活に費用がかかることが多いため、所得に関係なく減額返還の申請をすることができます。
新卒または中退者は、まだ貰っていない年収を証明できないため、所得証明書など収入を証明する書類の提出が不要です。
他の理由での申請より提出書類が少なく、提出書類は以下の3種類です。
- 奨学金減額返還願
- 免許証など本人だと証明できる書類のコピー
- マイナンバーカードまたはマイナンバー通知書のコピー
ただし、これまでに他の理由で減額返還制度を申請したことがある場合は適用されないのでご注意ください。 - 失業
-
基本的には、減額返還開始希望月から数えて、6か月以内に失業した方が対象です。
必要書類は人によって個人差がありますが、主に以下4点が必要です。- 雇用保険受給資格者証のコピー
- 奨学金減額返還願
- マイナンバーカードまたはマイナンバー通知書のコピー
- 免許証など本人だと確認できるもの
- 経済困難の証明書(所得証明書など)
- 直近4か月以内に発行されたハローワークカード
- 保険証コピー
- 傷病
-
病気やケガを理由に無職になった方、病気やケガが理由で転職し、給与が大幅に下がった方が対象です。
必要書類は人によって変わりますが、主に以下の書類が必要です。- 病院の診断書や通院記録
- 本人確認ができる書類
- 所得証明書や給与明細
- 奨学金減額返還願
- 災害
-
減額返還開始希望月から、1年以内に災害に遭った方が対象です。
災害後の状況や就業状況など個人によって提出書類が異なります。
事前に電話などで問い合わせて確認しましょう。
- 減額返還制度の申し込み手続きの手順
-
- 減額返還制度を利用できるか、適用条件を確認する
- 「マイナンバー通知書」や「減額返還証明書(住民税非課税証明書)」など必要書類を集める
- 「奨学金減額返還願」をインターネットでダウンロードして印刷する
- 奨学金減額返還願に必要事項を記入し、添付書類と共に郵送する
- 減額が承認された場合は、本人か連帯保証人宛に、「減額返還承認通知」が届く
- 関連サイト
- 独立行政法人 日本学生支援機構 「減額返還」
2-2. 返還期限猶予制度
「返還期限猶予制度」は、災害や疾病、経済困難、失業などの場合に、利子はかからずに奨学金の返還期限を猶予することができる制度です。
返還期限猶予制度を利用すれば、最長で10年(120か月)間、奨学金の返済を行う必要がなくなります。
ただし、返還期限猶予願いを1年ごとに提出する必要があります。
返還期間猶予期間が終了後は、奨学金の返済を再開することになり、事前に通知された返済予定総額は減額されません。
この返還期限猶予制度は、減額返還制度と異なり、奨学金を滞納している人も利用することができます。
- 適用条件(経済的な理由で返還期限猶予をする場合)
-
- 給与所得者 年間収入金額(税込み)300万円以下
- 給与所得以外の所得のある方 年間所得金額(必要経費等控除後)200万円以下
- 返還期限猶予制度の申し込み手続きの手順
-
- 返還期限猶予制度を利用できるか、適用条件を確認する
- 「マイナンバー通知書」や「返還期限猶予(住民税非課税証明書)」など必要書類を集める
- 「奨学金返還期限猶予願」をインターネットでダウンロードして印刷する
- 奨学金返還期限猶予願に必要事項を記入し、添付書類と共に郵送する
- 返還期限猶予が承認された場合は、本人か連帯保証人宛に、「返還期限猶予承認通知」が届く
事情欄や今後の見通し欄には、できるだけ詳しく具体的に書きましょう。
<経済的な理由で猶予を希望する場合の事情例文>社会人になったばかりで月収が低く、1年間は賞与が貰えないため、奨学金の返還期限の猶予を希望します。
など、支出と収入を明記しましょう。
収入:手取りの月収14万円、賞与見込み1年間なし
支出:家賃6万円、水道光熱費1万円、食費3万円 - 関連サイト
- 独立行政法人 日本学生支援機構 「返還期限猶予」
2-3. 返還免除制度
「返還免除制度」は、本人が死亡した場合や、精神もしくは身体の障害により働くことができないといった場合に、奨学金の返還を全部または一部免除できる制度です。
- 返還免除制度の申し込み手続きの手順
-
- 返還免除制度を利用できるか、適用条件を確認する
- 日本学生支援機構に電話をして、事情を説明、相談後、「奨学金返還免除願」を郵送してもらう
- 返還免除願いを行う理由別の必要書類を集める(戸籍抄本や医師又は歯科医師の診断書)
- 奨学金返還免除願に必要事項を記入し、添付書類と共に郵送する
- 審査が行われた後に、結果が通知される
- 関連サイト
- 独立行政法人 日本学生支援機構 「返還免除」
3. 奨学金を滞納するとどうなるのか?
3-1. 奨学金を滞納するとブラックリストに入ってしまう
ここまで、奨学金の返済が難しいときに利用できる制度を解説しました。
なんの手続きもせずに奨学金返済を滞納してしまうと、督促の電話がかかってきたり、督促状が郵送されたり、自宅や職場に督促に来られたりします。
それでも返済が確認できない期間が3か月続いた場合は、連帯保証人に返済の請求が来てしまいます。
奨学金を借りた本人が返済に応じず、連帯保証人に請求されると、「個人信用情報機関」へ金融事故として報告され、ブラックリストに入ってしまいます。
個人信用機関のブラックリストに入ってしまうと、クレジットカードの発行やローンを組むことが難しくなり、これから先の人生で困ることが多くなってしまいます。
大学で勉強をするために借りた奨学金の滞納が理由でブラックリストに入ってしまうのは本末転倒です。
奨学金返済を滞納する前に必ず手続きを行いましょう。
3-2. 奨学金が返済できず自己破産することもある
奨学金返済を滞納し、ブラックリストに入ってしまったとしても、奨学金の返済義務がなくなるわけではありません。
返済が遅れたことにより発生する延滞金と毎月の奨学金を払わなければならないので、延滞する前よりも支払い金額は増えることになります。
奨学金を本人や連帯保証人がどうしても返済できない場合に、「自己破産」申請をすることが可能です。
自己破産とは、奨学金を含め借金を返済できる能力がないと裁判所に認められたときに返済義務がなくなる手続きですが、代わりに、財産処分や一定期間借り入れが制限されるなどのデメリットも大きい手続きです。
奨学金を借りた本人が自己破産すると、連帯保証人に借金の返済義務がかかりますが、奨学金という大きな金額を支払えない連帯保証人は少なくありません。
連帯保証人も奨学金を返済できず、奨学金を借りた本人と連帯保証人の両方が自己破産するというケースもあります。
自己破産になってしまう前に、減額返還や返還期限猶予など使える制度は最大限利用しましょう。
「返還期限猶予制度」は、滞納しても利用できることが多いので、この時点で相談すれば最悪の事態は免れます。
4. 大学中退後に専門学校に進学する場合、奨学金を継続できるのか?
大学中退後の進路として専門学校に進学することを考える人もいますが、大学在学時に借りていた奨学金は、専門学校に通う際に継続ができません。
専門学校でも奨学金を利用したい場合は、再度申請をして、新たに奨学金を借りる必要があります。
ただし一度奨学金を借りたことがある人は、再申請の際の審査が厳しくなるということは知っておきましょう。
大学在学時に借りていた奨学金は、大学の事務所で異動届を提出してストップさせると、何も手続きをしないと7か月後から返済がはじまります。
専門学校に進学する際には、在学猶予を申請することで、専門学校を卒業するまで返済を猶予できます。
- 関連サイト
- 独立行政法人 日本学生支援機構 「在学猶予」
5. 奨学金を返済するために安定した企業に就職しよう!
奨学金の返還免除をしない限りは、多くの人が数百万円の奨学金をいつかは返済する必要があります。
返済は、何年にも渡って行うので、就職して働くことが必要になりますが、ただ就職するだけでなく、安定した企業、安定した職業に就職することが大事です。
奨学金を借りていた人の中には、
- 不安定な企業に勤めて不景気になったときに仕事を失った
- 短期契約の仕事を選んでしまい契約満期後の仕事が見つからない
という理由で奨学金の返済が難しくなった人もたくさんいました。
そのようなことにならないように、今から安定した企業に就職できるように努力が必要になります。
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